一番気に入ったことば「人間はもっと楽しく勉強できるはずだ」
この本は動機づけに関する心理学の本です。
前半は感覚遮断実験やハーロウの愛着形成など、よく知られる研究から動機について解説しています。
好奇心とは何かについて、解り易い本ではないかと思います。
後半になると教育の話になっていきます。
内発的動機づけをする教育方法を提案しているが、いかんせん現実にはそぐわない気がします。
人間性を育み、自主的に学習する人間にする。それは生産性の低下を招き日本の経済力を下げるし、学力格差が更に広がるだろう。
僕の意見は当たり前すぎて、当然本書でも否定されています。
アメリカのように自由の旗を掲げる国ならともかく、この本で取り上げられている教育現場の改革案は日本にはそぐわないやり方だし、知的好奇心を全ての人間に植え付けられるというような教育万能主義にはちょっと閉口してしまいます。
筆者の意見は少し現実離れしているようにも思えます。しかしながら意識改革として部分的に賛成出来るものもあります。
なぜなら僕が家庭教師をしていて、テストの点が悪い、つまり勉強嫌いな子の母親は必ずと言っていいほど教育熱心で、勉強は無意味に強制するもの、辛いけどやらなければいけないものと考え、テストの点が悪いと叱る傾向にあるからです。
そこには知的好奇心(やる気)を損なう教育があります。このような無意味な勉強の強制は減らすべきだと考えます。
- 作者: 波多野誼余夫,稲垣佳世子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1973/03/25
- メディア: 新書
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