[5冊目]芥川龍之介『地獄変』☆☆☆☆☆

一番気に入ったことば「暮色を帯びた町はずれの踏切と、小鳥のように声を挙げた三人の子供たちと、そうしてその上に乱落する鮮やかな蜜柑の色と―――すべては汽車の窓の外に、瞬く暇もなく通り過ぎた。」(蜜柑)


この本は表題『地獄変』を含む短編集なのだが、どれも名作揃いで、一つ一つの文章が凄すぎる。


その中でも好きなのは『蜜柑』。醜さと美しさの対比が波のように押し寄せてくる瞬間は感動ものである。


他にも『鼻』を読んで、コンプレックスって個性にもなり得るよなぁと思ったり。


羅生門』で(高校の教科書で読んだ)高校の先生を思い出しつつ、正しさについて思案したり。
正しさなんて状況や立場で変わっちゃうことがあるんだ。


ちなみに僕が買った文庫は集英社文庫で期間限定販売された、漫画家の小畑健が表紙を手掛けたもので、ついジャケ買いしてしまった。
まさにしてやられたというわけだ。


いやしかし、名作はもっといやらしい方法で広めてもよいと思う。


地獄変 (集英社文庫)

地獄変 (集英社文庫)